2015年4月29日水曜日

「バートン・フィンク」

カンヌ映画祭で史上初の三冠に輝いた91年の
シュールなブラック・コメディ。

ハリウッドに招かれたニューヨークの劇作家が
B級レスリング映画の脚本が書けずに
ひたすら苦しむというストーリーです。

コーエン映画で最も難解な作品だと思います。
それは娯楽性よりアートの要素が強いせい
だからなんですが、
僕も初見はさっぱり分かりませんでした(笑)

しかしこれが“作家の頭の中”を描いた作品
なんだと理解できると、
「ああ、なるほどそういうことか」と面白く
観ることができるんですね。

作家の“頭”の中を巡る話です。

だから当然、例の謎の箱の中身も……

ですね(笑)






2015年4月26日日曜日

「ミラーズ・クロッシング」

コーエン映画には大きく分けて、
コメディ路線とハードボイルド路線の2つがあり、
コメディ路線の傑作が「赤ちゃん泥棒」なら
ハードボイルド路線の傑作が
この第3作目のギャングノワール
「ミラーズ・クロッシング」だと言えると思います。

実際、本作こそが最高傑作だと評価されている
向きもあり、好みはどうあれ
その緻密なストーリーとリッチな映像美の完成度は
その評価にふさわしいクオリティを備えていると
思います。

コーエン兄弟唯一の“男”映画ですね。

冒頭、風に吹かれて森を舞い画面奥に
消えてゆく帽子が、本心を決して言わない
主人公レオの心情を表しています。

レオを演じたガブリエル・バーンの
知性ある哀しい瞳が印象的です。

そして何と言ってもゲスなクソ野郎を演じた
ジョン・タトゥーロの熱演が見ものです!
(ホントぶっ殺してやりたくなるほどの
ゲスっぷりです(笑)

この熱演が次作「バートン・フィンク」に
つながっていきます。

そしてアルバート・フィニー演じるボスの
襲撃シーンの笑ってしまうほどの
すさまじさ…!


秋の夜長に観て、しんみりと男萌え(笑)
するような味わい深い大人の男映画だと
思います。


これもまた素晴らしい傑作です!






2015年4月23日木曜日

「赤ちゃん泥棒」

僕の大好きな宝物映画の1つです。
すべてのシーンが夢のようにアナーキーで
コミカルで、そしてしみじみとした余韻を残す
ラストが印象的な傑作アクション・コメディ。

ダメだけど憎めないニコラス・ケイジも
強気でカワイイ、ホリー・ハンターも
どのコーエン映画でもアナーキーな
ジョン・グッドマンもすべてが最高!

赤ちゃんができずに悩む若夫婦が
5つ児が生まれた有名な家具屋社長の
ネイサン・アリゾナから一人の赤ちゃん
を誘拐し育てようとする天衣無縫の
ドタバタコメディです。


確かに年取ってから観ると
少々ユルく感じてしまうところもあるんですが、
初見、当時16歳だった頃の自分には
衝撃と感動と“映画の幸福”をこれでもかと
感じさせてくれた思い出深い作品で
もう何10回と繰り返して観て自分の血肉と化し、
無意識レベルで自分の描くマンガに反映されている
ような、そんな大事な作品なのです。

「こんなバカバカしいコメディの何の、どこが!?」と
思う人もいるでしょうが、好きなんだから
しょうがないですよねえ(笑)
自分の感性にピタリとはまったんです。


とにかく最初の出会いが
この映画で本当によかったとつくづく思います。

これが「バートン・フィンク」だったりしたら
ここまでコーエン兄弟のファンになっていたか
どうか……出会いは大事ですね。


ちなみに、この映画の主人公を追う
殺し屋の男は主人公ハイの父親だと思うんですが、
誰もその解釈をしていないんですよねえ……

だって、同じタトゥーしてるし、
昔自分の子供を売ったって言ってるし、
だからクライマックスで爆発した時
小さな靴が落ちるんじゃん!

そうとしか考えられん!!!



……まあ、その解釈は是非ご覧になって
皆さんで確認してください(笑)

楽しい愉快な映画が観たいならオススメです!





2015年4月21日火曜日

「ブラッド・シンプル」

1984年製作のコーエン兄弟デビュー作。
インディペンデント映画ですが
“予算はないけどやりたいことやるぞ!”という
野心みなぎるスリラー映画です。

少々頭でっかちなストーリーと新しい映像感覚など
すでにこの時点できらめく作家性が
ダークに輝いています。

後の代表作「ファーゴ」や「ノーカントリー」への
萌芽がみてとれます。

笑えはしませんが、うごめく思惑と
皮肉なユーモアがそこかしこに漂い
ハッとするような映像マジックと共に楽しめます。

まあ、万人にお勧めできるかは
ちょっと微妙なんですが…(笑)

現在では1999年公開の
よりブラッシュアップしたディレクターズカット版が
DVDで普及しています。




2015年4月18日土曜日

好きな映画監督

「コーエン兄弟」

「映画監督で誰が好き?」と聞かれたら、まず挙げるのが
この兄弟監督です。
忘れもしない、まだ高校1年の映画が好きになってきて
テレビでやる映画は片っ端から見ていた頃。
(今はホントに放送されなくなりましたね。BSではまあまあ
やりますが…さびしいかぎりです。
って言うかCS入って観ろって?(笑)

…で、深夜に放送されたのがこの監督2作目の
「赤ちゃん泥棒」だったんですね。

この出会いが自分には本当に大きかった。
「あ、これは自分のために作られたみたいに感性が
ピッタリくる!」と初めて思えた映画だったからです。
作家性が大爆発してるのにキャッチーで最高に楽しい
アクション・コメディなんですね。

すごいのに全然偉そうじゃない、人生を感じさせるのに
なぜか笑える絶妙なバランス感覚──


“特定のジャンルをひねりの利いた形で表現する”


                      その作品群のほとんどは
                  オフビート・コメディと言っていいでしょう。
“映像の魔術師”なんて初期の頃は言われていました。

“2人で1つの頭脳”なんて言われるくらい考え方や
感性も似ていてケンカもまったくないそうです。
(それってものすごい心強いパートナーですよね)
2人で脚本、監督、編集もします。
今ではアメリカを代表する巨匠監督となっています。


はっきり言ってひねくれた作風です。普通じゃない。
知性があるのにバカバカしい。
人を食ったような残酷な暴力シーンや
人生の無常観も作品によっては突きつけてくるので
人を選びますし、作品の評価や好きずきも人それぞれだと思います。
自分でも「これはイマイチ」ってのも、もちろんあります(笑)


しかし、その感性や作家としてのスタンスにどれだけ影響を受けたか
はかり知れないほど、現在にいたるまで新作を待ち遠しく思える
大好きな映画監督であり続けています。

そんな個人的な愛情を込めて、いくつかイラストを掲載して
いきたいと思いますので興味があったらぜひ観てみてください。



作品リスト
「ブラッド・シンプル」(1984)
「赤ちゃん泥棒}(1987)
「ミラーズ・クロッシング」(1990)
「バートン・フィンク」(1991)
「未来は今」(1994)
「ファーゴ」(1996)
「ビッグ・リボウスキ」(1998)
「オー・ブラザー!」(2000)
「バー・バー」(2001)
「ディボース・ショウ」(2003)
「レディ・キラーズ」(2004)
「ノーカントリー」(2007)
「バーン・アフター・リーディング」(2008)
「シリアスマン」(2009)
「トゥルー・グリッド」(2010)
「インサイド・ルーウィン・デイビス 名もなき男の歌」(2013)



2015年4月9日木曜日

2015年4月6日月曜日