2015年5月9日土曜日

「ビッグ・リボウスキ」

98年の7作目。
「ファーゴ」で頂点を極めて、次は一体どんな凄い
映画を作るのかと思っていら、ダメなおっさんたちの
脱力コメディだったという……(笑)

ロサンゼルスを舞台に、同姓同名の富豪と
間違われたボーリングが趣味の無職の
中年男が富豪の妻の誘拐事件の真相を
暴いていくというストーリー。

もう肩の力が抜けたように脱力した世界観です。
ポップでキッチュでヘラヘラとした空気が
なんともいえない魅力をはなっています。

しかし、それでもそこはコーエン兄弟。
脚本のひねり具合と、これでもかと
出てくる出てくる変な人たち(笑)
そして夢見るような映像マジック……

ある種この作品がここまでのコーエン映画の
集大成だと思います。

「もうやりたいことはやっちゃたな」
というような。


以降「オー・ブラザー!」は個人的には
わざとらしくていまいちでしたし、「バー・バー」は
悪くはないけど、及第点という感じ。

夢見るような映像マジックはみるみる
影をひそめていきます。

続く「ディボース・ショウ」も及第点。
「レディ・キラーズ」は、これが個人的には
一番ダメな作品で、「一体どうしちゃったの?」
という出来です。

しかし、凡作が続き一ファンとして寂しい気持ちを
抱えていた2007年、コーエン兄弟は
とんでもなく恐ろしいスリラー映画の傑作、
「ノーカントリー」を生み出すことになるの
ですが……


しかし一応ここで
このイラストシリーズは終わりにしたいと思います。
特に思い入れがあり華々しかったのは
「ビッグ・リボウスキ」あたりまでなので。

もちろんまだ好きな作品もあるんですがね。
「トゥルー・グリッド」は万人にオススメできる
素晴らしい作品だし、
「インサイド・ルーウィン・デイヴィス」も
小品ですがとてもいい映画です。


また機会があれば好きな映画特集をやりたいので
その時はまたということで。

ではまた。




2015年5月6日水曜日

[ファーゴ」

96年度アカデミー主演女優賞、脚本賞を受賞した
名実共にコーエン兄弟の代表作といえば
この通算第6作目の大傑作「ファーゴ」です。

雪深い田舎町を舞台に、偽装誘拐事件が
血なまぐさい連続殺人事件に発展していく様を
多彩な登場人物の視点で描いたストーリー。

時に恐ろしく、時に爆笑してしまうほどの
オフビートな黒い笑いを誘発させる、哀しくも
滑稽な人間賛歌……


もう何も言うことありませんね。
コーエン映画の魅力をふんだんに盛り込んで
「人間て、なんて変で不合理で、でも愛すべき
生き物なんだろう…」と、しみじみと
そしてスリリングに感じさせてくれる
問答無用の大傑作!

本当に不思議なテイストなんです。
犯罪映画なのに脱力してて、
のんびりしてるのに残虐で恐ろしい……

映画館で観た時は、品のいい奥様方も
“例のあのクライマックスシーン”に
大爆笑していました。
映画史に残る爆笑残酷シーンです(笑)


2014年にはテレビシリーズとしても
製作されていて、こちらも傑作といえる
ほどのクオリティーに仕上がっています。


ハリウッド大作系を見飽きて
「他になんか面白いのないの?」と思ったら
観てみてください。

いつまでも心に残る“へ~んな映画”です!




2015年5月2日土曜日

 「未来は今」

巨大バジェットを得て製作された94年の5作目。
初のメジャー作品であり、
往年のハリウッド映画を思わせるような
ファンタジー・スクリューボール・コメディです。

能足りんの純粋な青年が陰謀に巻き込まれながらも
巨大企業で成功していく物語。

フラフープが生まれ、世間に広まっていく過程が
とてもバカバカしく楽しく描かれています。
(もちろん映画ならではの架空の話)

アート性は皆無の、ひたすら娯楽性にこだわった
作風なのですが、なぜか興行的に大失敗!

そんじょそこらの映画に比べたら
全然出来のいい映画だと思うんですがね……

いや悪くないよ、これは!
気軽に観れるコーエン映画としては、
これが一番おすすめかもしれません。


そして、この興行的大失敗のリベンジは
次作の大傑作「ファーゴ」によって
果たされるのです!